しんちゃんのオランダ&ベルギーツアーガイドブログ

オランダ、ベルギーで個人ツアーガイドをしているしんちゃんです。僕の日常や観光情報などを毎日こちらのブログにて綴っております。個人ツアーの詳細はハッピーツアー オランダ&ベルギーでご検索ください。みなさん、楽しい素敵な旅行を楽しみましょう!

          オランダ&ベルギーの個人ツアーガイド「しんちゃん」の日常を綴っております☆

ウィーン旅行紀②

こんにちは、しんちゃんです。前回に引き続き、ウィーンの旅行紀を書いております。絵画尽くしの第二弾!

ウィーン美術史美術館へ 

今回ウィーンに来た目的は絵画の見学ということで、この旅行中に色々な美術館を巡りました。まずは世界的にも有名なウィーン美術史美術館へ。この美術館はマクシミリアン1世(1459-1519)の時代から、ハプスブルク家が収集したコレクションが展示されている美術館で、1891年に開館となりました。美術館自体もハプスブルク家のコレクションを展示するだけの目的で作られたという、驚異的な財力を実感することができる場所になっております(笑)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211055525j:plain

ウィーン美術史美術館

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191214195543p:plain

ウィーン美術史美術館の館内

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191214232944p:plain

美術館内の「世界で最も美しい?」と言われるカフェ

滞在時間はおおよそ3時間。これ以上は体力と集中力的に無理〜〜っ!!てなって、出てきてしまいました(笑)。隅から隅まで見ると1日かそれ以上かかります。今回、イタリアの巨匠ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio, 1571-1610)、通称カラヴァッジョの特別展がやっているということもあり、この地を選びました。 

 

*ここからは、絵画の世界を全く知らない人に、すこーーーしだけ「ああ、そういうことか」くらい分かってもらえそうな内容構成で。

 

このカラヴァッジョの作品の特徴は写実性、明暗対比、感情表現で、後の絵画界に多大なる影響を与えたと言われております。というのも彼が出てくる前のイタリア、及びヨーロッパで流行していた技法は「マニエリスム」って言って、自然な描写を通り超えて、極端にねじらせてみたり、遠近を異常に誇張したり、ちょっと現実離れした色使いをする手法が流行っていたのだそうです。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191214202928p:plain

マニエリスム:首が長い?キリストの身体つきにも違和感?

それとは異なる形で絵画界に旋風を巻き起こしたのが、このカラヴァッジョという人になります。つまり、写実性や明暗対比、感情表現といった所にフォーカスをした作風になっております。以下の絵画は「ゴリアテの首を持つダビデ」という作品ですが、どうでしょう。まるで写真のように美しく、そして暗い背景の中で、人物が美しい光を浴びて描かれているのが分かるかと思います。写実性、明暗対比、感情表現を感じとることができますでしょうか?

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211052847j:plain

ゴリアテの首を持つダビデ(カラヴァッジョ)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211052913j:plain

ゴリアテの首を持つダビデ(アップ)

ちなみにこの作品は、聖書の中に出てくる「ダビデと巨人ゴリアテ」の戦いのシーン。羊飼いのダビデが、イスラエル軍にいる兄に食べ物を届けようとした際に、巨人ゴリアテが「一騎打ちで負けたら、イスラエルはペリシテの奴隷となれ」と向かってきます。これに対しダビデは、杖と投石機を使ってゴリアテを倒し、さらにゴリアテの持っていた剣で首を取るというストーリー展開になっております。

その他にも、この特別展では以下のようなカラヴァッジョ作品が展示されておりました。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211053201j:plain

ロザリオの聖母(カラヴァッジョ)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211053128j:plain

ロザリオの聖母(アップ)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211052934j:plain

洗礼者ヨハネ(カラヴァッジョ)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211053032j:plain

洗礼者ヨハネ(カラヴァッジョ)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211053024j:plain

荊冠のキリスト(カラヴァッジョ)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211053008j:plain

荊冠のキリスト(アップ)

以下の「トカゲに噛まれる少年」という作品も、非常にリアルに描かれています。右手がトカゲに突然噛まれ、驚きと痛みを伴った表情。そして、反射で左手にも動きが見えます。非常に人間らしい、写実的な作品となっております。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191214233008p:plain

トカゲに噛まれる少年(カラヴァッジョ)

さて、僕のツアーをお取り頂いたお客様には、たまにオランダやベルギーの絵画をお話することがありますが、このカラヴァッジョの明暗対比の技法を上手く取り入れている画家さんがおります。それがレンブラント(Rembrandt Harmenszoon van Rijn, 1606-1669)やルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640)になります。

ルーベンスはこのブログでも何回か登場しておりますが「フランダースの犬」という物語の中で、少年ネロが憧れを抱いていた画家さんです。彼は1600年代初頭に8年間イタリアで過ごしており、この時のイタリアでの最先端がカラヴァッジョであり、彼の模写作品なども作成したと言われております。以下はこのウィーン美術史美術館にあったルーベンスの作品になっております。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191214201350p:plain

ルーベンス作品

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191214064927p:plain

ルーベンス作品

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20181204010643j:plain

アントワープ大聖堂のルーベンスの絵画

また、レンブラントはオランダの巨匠で「光と影の魔術師」と言われており、これはカラヴァッジョの明暗対比が大きく影響を与えていると言われております。以下の作品はアムステルダム国立美術館のレンブラント代表作「夜警」ですが、手前の人物にスポットライトが上手く当たり、背景はダークな色合いになっておりますよね。これこそがレンブラント絵画の特徴であったりします。

このように、カラヴァッジョをはじめイタリア芸術はオランダやベルギーなどヨーロッパのエリアに多大な影響を与えていたということなのです。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20180210064111j:plain

アムステルダム国立美術館の「夜警」(レンブラント)

そしてもう一人、忘れてはならないのがフェルメール(Johannes Vermeer, 1632-1675)です。彼もレンブラントと同時期の画家さんになっております。ウィーン美術史美術館にある非常に貴重なフェルメール作品「絵画芸術(1666年頃)」には思わず感動してしまいました。この作品は普段オランダで見るものに比べてだいぶサイズの大きな作品になっております。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211055918j:plain

絵画芸術(フェルメール)

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211060123j:plain

絵画芸術(フェルメール)

相変わらずの美しい青色となんとも素朴な雰囲気に「あぁ、フェルメールだな。」という思いを感じ、そして鑑賞者がこのアトリエの中にいるかのような錯覚さえ覚えます。女性の後ろには、当時のネーデルランド連邦共和国の主要な七州が描かれているらしいのですが、この地図の皺の感じはまるで本物のようです。

これは、日本にたくさんいるフェルメールファン達には自慢できる経験だったような気がします!

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191127060712p:plain

オランダのマウリッツハイス美術館にある「真珠の耳飾りの少女」(フェルメール))

ということで、カラヴァッジョから始まり、それに影響を受けたルーベンスとレンブラント、そして同時代に活動していたフェルメールを少しだけ紹介させて頂きました。「この4人だけで絵画は語れないでしょ。たった4人じゃ。」とお思いかもしれませんが、1600年代のこの4人は超スーパー画家で、その影響力というのは凄まじい訳です。皆様も美術館に行った際は、こういった4人に注目してみるのも、きっかけとして面白いのではないでしょうか?

さて、ここからもう一人をささっとご紹介。この美術史美術館のコレクションが最大と言われるピーテル・ブリューゲルPieter Bruegel de Oude,1525-1569)になります。彼が活躍したのは1500年代半ばなので、上記で紹介した画家さん達より、もう少し昔に活躍した人になります。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211061221p:plain

バベルの塔(ピーテル・ブリューゲル(父))

絵だけ見てても面白くないので、少しだけこの「バベルの塔」を解説しますね。旧約聖書(創世記)の中にバベルの塔の物語があるのですが、これは、人々が神の作った石に代わって、レンガやアスファルトという技術を生み出し、それを使って天に届く高い塔を作ろうとしたのです。人々は手に入れた技術で傲慢になり、力を示そうとしました。

これを見た神が「人々が神の力を脅かすのでは」と考えます。そして、こんな状況になってしまったのは、人々が皆同じ言語を使う民族だからであると考えたのでした。神は、一つだった人々の言語をバラバラにし地上を混乱させます。お互いを理解できなくなった人々は、この塔の建設を中止せざる得ませんでした。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211061308p:plain

バベルの塔(ピーテル・ブリューゲル(父))

ブリューゲルの作品の非常に細かく、繊細に描かれるタッチは人々を魅了します。見てて飽きないです。凄く細かいので、目を凝らして、ゆっくり、じっくりと楽しむことができるのです。特にこのバベルの塔という作品は、虫眼鏡でも使ってじっくりと観察したいくらいに、細かく、美しく描かれております。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211061357p:plain

バベルの塔(ピーテル・ブリューゲル(父))

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211061428p:plain

バベルの塔(ピーテル・ブリューゲル(父))

このバベルの塔はオランダ、ロッテルダムの美術館にも入っておりますので、そちらの写真も貼っておきますね。少し違うタッチで描かれているのが分かります。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20180412063002j:plain

バベルの塔(ピーテル・ブリューゲル(父))

以下も有名作品「農民の婚宴」というものです。ブリューゲルは農民の画家と呼ばれるほど、多くの農村の様子を絵画に残しております。

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211062458p:plain

農民の婚宴(ピーテル・ブリューゲル(父))

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211062449p:plain

農民の婚宴(ピーテル・ブリューゲル(父))

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211062702p:plain

謝肉祭と四旬節の喧嘩(ピーテル・ブリューゲル(父))

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191211062521p:plain

謝肉祭と四旬節の喧嘩(ピーテル・ブリューゲル(父))

これらを見終えて、美術館での体力と集中力は限界を迎えました(笑)オランダやベルギーの美術館がとっても小さく感じる瞬間でした。それにしても、この量を収集していたハプスブルク家の力って。。。すごくないですか?

さて、今回はここまで。次回はいよいよグスタフ・クリムト(Gustav Klimt1862-1918)をご紹介。この2人を押さえておかないと、ウィーンに来た意味がないのであります。 

f:id:shinchan-netherlands-belgium:20191212041610j:plain

ではでは皆さま、引き続き宜しくお願い致します!Be Happy with Happy ! ハッピーツアー オランダ&ベルギーの手がけるプライベートツアーは以下からご覧ください。

happy-tour-nb.com

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村